テーマ XPのみらい ~これから始めてもいいじゃないか!~
開催日 2005年9月3日(土)10:30-18:30
会 場 日本科学未来館 みらいCANホール
関連頁 XP祭り2005 終了@XPJUG
年に一度のeXtreme Programmingのお祭り。前回参加したときは、大学の講義室だったけれど、今回は、「カッこ良い」「面白そうなもの満載(*1)」な場所に昇格。参加者も250人くらいまで増加したらしい。一日一杯、XP漬けでした。スタッフの方、発表者の方、ありがとうございました。来年も参加したいなぁ....。
XP入門(小井戸さん)[資料]
「スケジュール的に、キツキツなのだぁ」ということで、受付の最中に開始されたセッション。
「なぜ、XPなのか」「XPの基本要素(ポリシ、価値、プラクティス)」「現在の開発プロセスの問題点と、XP的解決方法」という「わかっている人は、何度も聞いた話」だけではなく、『Extreme入門』の現行版と第二版(*2)との違いを、短時間に凝縮して、一気に説明。
ちなみに第二版では、新しい「XPの価値」として「尊重(*3)」が追加された他、プラクティスの数が増加したそうである。
EXP - Enterprise XP(倉貫さん)[資料]
「XPのこれまでとこれから」というサブタイトルのセッション。
前振りは、新入荷の「Bizペン(*4)」。
ワイヤレスのペン型ポインティングデバイス。「これが、いくらするか予想しよう」と会場に問いかけ。「5000円以上1万円以下」が、会場の予想で一番多
かったが、実際は、4000円弱。「かくして、技術者の見積もりは当たらないと言うことが証明された」との倉貫さんの言葉に、会場爆笑。
さて、本題は、いままでXPerたちが「見なかったこと」にしていた「エンタープライズ開発にXPを適用する」という点を検討する話(*5)。
最初に、「WEBアプリケーション」を「Web上でサービスを提供する」インターネットアプリケーションと、「単にシステムのGUIにWEBブラウザを
使う」エンタープライズアプリケーションに分類することで、エンタープライズアプリケーションを定義。次に、エンタープライズアプリケーションの上流工程
と下流工程それぞれに、XPの適用可能性を検証した。発表者の倉貫さんは、以下の点で、上流工程とXPの間に共通点があることを指摘した。
- 成果物契約ではなく、作業工数契約
- 顧客を巻き込んだ作業
- 技術検証のためのプログラミング技術の必要性
- 少数精鋭主義
これらの共通点から考えて、上流工程において、XPを適用することは、十分可能であると結論付けた。
また、下流工程でも、以下の点で適用可能性が高いという結論を導き出した。
- 上流工程で作られた成果物が流用できる
- 上流工程に参加していた人間が下流工程にも参加することで、意思疎通や設計思想継承の面で有利
- 複数の会社が共同作業する場合、短い期間でリリースを続けることによって、リスクを小さくできる
なお、倉貫さんは、発表中、「上流工程」「下流工程」という言葉の代わりに「試作工程」「製作工程」という呼称を使うことを提唱されてた。
プロジェクト・ファシリテーション(平鍋さん)[資料]
「XPとオブジェクト指向」というイベントに欠かせないのが、平鍋さん。「彼がいないイベントは、画龍点睛を欠く」と言ったら、言いすぎかしらん。
彼の前振りは、金曜日に開催されたプロジェクトマネジメントの研究会の話。「おもしろ工学」とか「悪夢工学(*6)」とか、変な名前の工学が軒を並べていたらしい。
さて、本題。始めに「現在の開発状況を、野球場のスコアボードの様に、すべての人に見えるようにする(*7)」
ための小道具と、その「正しい使い方」が紹介された。「バーンダウンチャート」「かんばん」「あんどん」「だるま」「ペアボード」「ふりかえり」「マイン
ドマップ」....。「正しい使い方」の説明には、XP界で超有名な劇団である劇団ペケピーによる小演劇もあり、人気を博した。ちなみに、これらの小道具
は、
- サーバに保存して共有はダメ
- 壁に貼る
- グラフは手描き
など、どれも「あえてローテクな使い方」をする
(*8)。
タイトルにある「プロジェクト・ファシリテーション(以下PF))」の話題にはいったわけだが、この時点で、持ち時間の2/3を消費してしまっていたため、ここからは、かなり早足。内容は以下。
- PFが、アジャイル + トヨタ生産方式(*9) + ファシリテーション(*10)から構成されている。
- ソフトウェア開発以外の部分でも適用可能。
- PFは、プロジェクトを成功させるだけではなく、最終的にはQuality of Engineering Lifeの向上をも実現するために、重要な要素
- PFの「5つの価値」と「4つの原則(*11)」、および、それぞれの関係
ワークショップ(天野さん)
ワークショップが、僕にとって、今回の目玉。何しろ、周囲にXPを実践している人がいないので、自分がやっている
XP(もどき)のアプローチが正しいか、全然自信が無い。「どこかで、体験済みの人たちに混ざって体験したいなぁ」と思っていたら、今回の「まつり」で
ワークショップが開催されるというニュース。メイントラックも、かなり気になったんだけれど、「XPは、話を聞いても、本を読んでも、できるようにならな
い。自分で体験しなきゃ」というルールを思い出して、即座に申し込み。
今回のワークショップは、4人一組のグループで、紙とポストイット、そしてエンピツを使って、「図化」と「ふりかえり」「気付き」の体験。手順は、
- プラクティスの中から5つを選び、それぞれの関連性を考えて図化する。
- その作業を振り返って、Keep-Problem-Tryのチャートを作る。
- その後、更に2つのプラクティスを追加して、再度、図化。
- 前回のTryがどれくらい実現できたかや、新しい問題が発生していないかを中心にふりかえり。
- Problemとして残っているものから2点を選択して、問題点の原因と、それを取り除く方法を考える。
- 作業の中で気付いたことをグループ単位で共有する。
- グループごとに、「気付き」を発表する。
初めて会った人間同士でグループを組むので、グループによって作業の進度に差は出た
(*12)ものの、全グループ、最後まで到達。あっという間の2時間だった。
ただ、時間が短かったことや会場の制限
(*13)もあって、中途半端な部分があったのが残念。最後に、講師役や助手役の人たちから、「外部から見て気付いたこと」が聞きたかったなぁ。とは言え、とても大切な経験だったのは確か。次回は、もう少し長い時間をかけて、XPの一連の流れ
(*14)を体験してみたい。
パネル~XPのみらい(司会 : 倉貫さん@XPJUG、パネラー : 平鍋さん@永和システムマネジメント、萩原さん@MSKK、関さん@東芝、ひがさん@Seasar Foundation、萩本さん@豆蔵)
元々の御題は、「成功談、失敗談」と「プロジェクトの成功って何?」という2つ。
- 成功談、失敗談(「おとなしい話」編)
- Horbのアーキテクチャ改変をやり始めた時、成果物ができなくて(*15)、かなり焦った(萩本さん)
- お客さんと、コラボしてたはずなのに、完成したときには、お客さんの理解の範囲を超えていた(倉貫さん)
- フィードバックを大切にしなくちゃ(ひがさん)
- インターフェイスを設計して、複数の会社に実装してもらった時、互換性テストをどうするかが、悩ましい問題だった(萩原さん)
- 「公共機関の仕事は、仕様がキッチリしなくてはならないので、キツかった(平鍋さん)
- OOを理解している人がほとんどいないプロジェクトをやったとき、OOを意識しないで開発できるような仕組みをきっちり作ったら、そのときは素晴らしく巧く行ったが、想定外の機能が発生したら、誰もメンテできなくて大変だった。(萩本さん)
- 成功談、失敗談(「爆弾発言(*16)」編)
- フレームワークなんていうのに縛られるのは、大嫌い
- 自由度がありすぎると、シンプルではなくなってしまう
- 汎用的なフレームワークを使うと、時々、オーバースペックなものが必要になったりして、僕は、自社製品だけど、嫌だなぁ
- プロジェクトの成功って何?
- 金銭的、技術的利益(倉貫さん、ひがさん)
- QoEL(平鍋さん、関さん)
- (顧客、開発者、経営者にとって)価値を上げること(萩本さん)
- XPは、どれくらいの規模に適用できるか
- 大規模プロジェクトを作らない工夫が必要なのではないか(平鍋さん)
「10人以上でプロジェクトをやってはいけない」という法律を作るためのAgile党が結成されることになった(*17)。ウソだけど。
- 日本だからうまくいくという開発(開発手法)は、存在するか
- 要求開発(萩本さん)
- ソフトウェアファクトリとセル生産を結合したもの。(萩本さん)
- 日本だからとかいうのは無い(関さん)
- 日本だからとか海外だからとか、気にしてる場合ではない(ひがさん)
- 頑張る力の源泉は?
- 楽しいから(萩本さん)
- 他人へのフィードバック(ひがさん)
- 他人が巧くなるのを見たい(関さん)
- ITに革命を起こしたい(萩原さん)
- 感動を与えたい(平鍋さん)
途中、パネラーの考え方の違いから議論になりかけた所もあったが、全員大人なパネラーは、相手を思いやって深追いをしたり、議論をふっかけたりしない
(*18)。観客の一人としては、バトルを見てみたかったなぁ...などと不謹慎なことも思ったり思わなかったり。
劇団ペケピー vs アンプラーズ
XPerに大人気の、二つのグループが、ステージ上で激突。忙しい仕事との合間を縫って、ほとんどブッツケ本番(*19)...。ネタつくりなど、大変だったろうなぁ。
ライトニング・トークス
とりあえず、発表タイトルを羅列。
- アジャイルとジャグリングの共通点(和田@富士通さん他)
- self.wake_up: from Ruby => the matrix(Rubyの会)
- ユースケースによるアスペクト指向ソフトウェア開発(太田@日本IBMさん)
- N・Agile(小島さん)
- 自分開放とAgile(おかださん)
- Xpと脳梗塞(あまのりょーさん)
- Agile プロセスライン(わっしーさん)
- ネタ本(侍塊sさん)
- 仕事術としてのAgile(発表者不明(*20))
- 分割(Akiyahさん)
- TDDとBDD(かけださん)
文書履歴
2005/09/04 : Version 1.0
2005/09/05 : Version 1.1(一部、文章追加、表現変更。)
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